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【永遠のゼロ】なぜ、臆病者だった祖父は神風特攻隊に出撃したのか。祖父の生前の謎と英霊たちの魂について。

百田尚樹著『永遠のゼロ』

 

あらすじ

神風特攻隊に行き、戦死した父祖・宮部久蔵の跡を追って、過去に祖父ととも戦場を駆け抜けた戦友たちに話を聞きに行く事に。「宮部は臆病者」「優秀なパイロットだった」「人間として、軍人として立派な人だった」話を聞くほどに、宮部久蔵という人物がどんな人だったのかがわかっていく。その中で、かつての帝国海軍上官のあまりの非人道的な行いに涙と怒りが止まらない。宮部久蔵だけではなく、先の大戦で散華した多く英霊の魂の在り処に思いを馳せ、胸が締めつけられる。

 

 

物語は、祖母の死をきっかけに始まった。いや、それ以前の第二次世界大戦の頃まで遡ると言って差し支えないのではないかと思います。

 

祖母の死―自身にとっては長年連れ添った妻の死に際して、二人の孫に祖父が告げた衝撃の告白。それは、自分は血の繋がった実の祖父ではない、という事だった。

 

その後、健太郎たちは戦友会を通じて、かつて宮部とともに戦った戦友たちの許を訪れます。彼らが語る実の祖父は、それまで想像していた「祖国のために特攻隊に志願した勇敢な将校」というイメージとはかけ離れていました。

 

戦場では逃げ回り、生きる事、生きて帰る事を最優先にして戦場にいたという宮部の話を聞き、最初は落胆する二人。しかし、その後になぜ彼がそんな事をしていたのか、その理由を知り、少しずつ宮部の事を理解し始めます。

 

ここで、僕は宮部久蔵という人物は立派な人だと思いました。現代的な感覚から言えば、戦争とは合理性を欠いた、非常に非効率的な手段であり、外交という点において犠牲が出過ぎるのではないかと。僕の持つ戦争の知識はそれほど多くはありませんが、直観的に戦争とそれによって発生する死は絶対に回避するべきものだと思います。

 

けれども、そんな現代的な感覚からすれば、宮部久蔵を取り巻く環境というのは最初は理解に苦しみました。いえ、読み終わったいまでも、理解できない部分は多々あります。

 

当時は祖国のために死ぬ事を受け入れなければならない時代だったというのは知識の上では何となく知っています。けれど、やはりどこか歪な気がして、かなり胸の奥がもやもやしました。

 

戦友たちから聞く宮部久蔵という人物像は、現代の僕たちの感覚から言えば当然の事だと思います。彼は愛する妻と娘に再び会うために、持てる操縦技術の粋を集め、生き残っていったのです。

 

特攻隊への志願の際にも、彼は最初は明確に拒否しました。時代背景を考えても、それは勇気が必要な事でした。にも関わらず、彼は上官に向かって特攻へ行く事を拒否したのです。

 

ではなぜ、彼は神風特攻隊に行ったのか。その理由の本当のところはわかりません。作中でも「おそらくこうだろう」という想像はされていますが、やはり実際のところは本人でなけばわかり得ない部分でしょう。

 

以上、百田尚樹著『永遠のゼロ』でした。もし興味を持ってもらえたという人がいましたら、嬉しいです。それではまた、次回お会いしましょう。さよなら。


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