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【書評】夢を抱き、時代に抗った男の記録。司馬遼太郎『燃えよ剣』

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こんにちはこんばんは。プラスアルファでございます。

 

今回も僕が読んだ本のご紹介を。

 

今回ご紹介するのはこちら。

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司馬遼太郎『燃えよ剣』です。

 

総ページ数1118ページ。上下巻で構成されている江戸末期から明治初期を舞台にした幕末時代小説です。

 

石田村の百姓の子〝バラガキのトシ〟がいかにして新選組を作ったのか、彼が追い駆けた夢とは一体どんなものだったのか。

 

新選組、そして土方歳三については以前にも京極夏彦先生の作品をご紹介しましたが、それとはまた違った土方像が『燃えよ剣』にはありました。

 

物語は石田村から始まります。最初は情事の相手を探して歩いていた歳三でしたが、月日が経ち、彼が剣を学ぶ天然理心流の道場に壬生浪士募集の知らせが舞い込みます。知らせたのは童門の藤堂平助。

 

金策に困っていたこともあり、近藤勇、土方歳三、沖田総司を始めとした天然理心流の面々は壬生浪士組に参加するために京都へと発ちます。

 

壬生浪士組は幕府の将軍警護のために各所にいた腕自慢の浪士を集めた剣客集団だったのですが、実はそれは真っ赤な方便。本当は国家転覆を目論む攘夷組織だったのです。

 

幕府を打ち、天皇に政権を握らせるための尊王攘夷運動の先兵として集められた浪士たち。教示も信念もない彼らは清川八郎の言葉に諾々と従います。

 

しかし、それをよしとしなかったのが新選組の初期の面々でした。

 

新選組といえば、局長近藤勇を長とする治安維持部隊というイメージが強いかと思います。しかし、一番最初の新選組局長は芹沢鴨という大男で、粗暴で荒くれ者でした。

 

彼のお陰で新選組の評判は悪く、横柄な態度が目立ちます。

もちろん、芹沢鴨を初代局長に据えたのは土方歳三の助言を受けた近藤勇です。

 

悪さを繰り返す芹沢鴨。彼を局中法度の名の下に暗殺し、近藤勇が名実ともに新選組の局長に就任します。

 

けれど、人は力を持つと変化するもの。近藤は段々と大名のような暮らしぶりになっていき、その様子には土方も辟易とした様子が描かれていました。

 

厳しい鉄の掟を作り、新選組を大きく、強固にしていくことに全力を注ぐ土方とは対照的に、近藤は文字を学び、学問を学び、政治を学んでいきました。

 

有名な池田屋事件では、山崎丞の活躍が目立ちます。彼は監察(スパイ、間者)として攘夷浪士たちの会合場所を突き止め、攘夷浪士たちをうまくだまして彼らの刀をすぐには手の届かない場所へと持って行きます。

 

そうして切り込んできた近藤以下の新選組の面々。迎え撃とうにも、攘夷側の武器は山崎の手によっていずこかへ消えています。

 

近藤や沖田、原田左之助らの活躍によって、池田屋ノ変は無事に片づきました。

 

池田屋ノ変での後、評判を上げた新選組。鳥羽伏見の戦いではまさにそれぞれが一騎当千、獅子奮迅の戦闘を見せました。

 

しかし、相手は最新式の重火器を用いた新政府軍。一方近藤、土方がいる幕府軍は旧式のものばかり。肩に銃弾を浴び、近藤はその後戦場で満足に戦うことができませんでした。

 

甲陽鎮部隊と名付けられたその隊もほぼ壊滅状態。

 

近藤も最後には敵方に捉えられ、斬首されて命を落とし、沖田も病床で逝ってしまいました。

 

永倉新八や原田左之助がいるとはいえ、純粋に天然理心流を学んだ面々はみないなくなってしまった。土方はここから、孤独な闘いを繰り広げていきます。

 

既に大政奉還、王政復古の大号令は成され、政権は天皇に返上されました。

 

つまりそれまで官軍として戦っていた土方側が賊軍となり、これまで賊軍扱いだった天皇を要する新政府側が官軍となってしまったのです。

 

戦闘の舞台は旧蝦夷地、北海道に移し、そこで最後の戦いへと繋がっていきます。

 

そんな北海道の地で、土方がたった一人愛した女性、お雪と再会しました。一夜の逢瀬の間にすっかりと変わってしまった土方を受け止めたお雪は余計なことは言わず、すぐに立ち去ります。戦場になるのですから当然ですね。

 

北海道に場所を移してからも何度となく官軍を打ち破り、追い払って来た土方と彼が率いる部隊。土方さえいれば負ける道理はないとまで言われていました。

 

しかし最後は凶弾に倒れ、意外にあっけなく、それも静かに生涯に幕を閉じました。

 

とまあ、これほどのものが『燃えよ剣』の概要です。

 

いかがでしたでしょうか?ページ数は多いのですが、上下巻に分かれていますし、土方歳三という男が抱いた大望が何だったのか、それを少しでも垣間見ることができる素晴らしい小説だと僕は思いました。

 

文体も力強く、それでいて端々では繊細さを残している、何とも不思議な筆でした。

 

鬼、鬼神と恐れられた土方歳三。ここからひとつ、学びとってはいかがでしょうか?

 

というわけで、今回はここまでにしたいと思います。もしよかったらぜひ、読んでみてください。

 

それではまた、次回お会いしましょう。さよなら。

 


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