こんにちはこんばんは。プラスアルファでございます。
今回も、僕の読了本のご紹介をさせていただきたいと思います。
早速、今回ご紹介するのはこちら。
伏見つかさ著『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』です。
今からおよそ10年前に色んな意味で話題になった作品です。
一言で言い現わすなら『実の妹と恋愛しちゃうラブコメ』です。
おっと、今気持ち悪っ!と思った人も多いと思います。今の一言だけでこの作品を今後手に取ることはないと思った人もたくさんいるだろうと思います。
しかし、ちょっと待ってください。実はこの作品、個人的にかなりの名作だと思っていて。
それと言うのも、この兄妹、最初っから仲よしラブラブ兄妹、というわけではなかったのです。
物語開始当初はかなり仲は険悪。兄は妹を無視し、妹は兄を病原体のごとく扱う。まあおそらくどこの家庭の兄妹もそんなものでしょう。妹いないから知らないですが。
しかもそれが五年近く続いているとなれば、仲の悪い兄妹としてはかなり堂に入ったものでしょう。
物語は主人公の高坂京介の一人称支点で進行していきます。語り部である彼は地元の高校に通う高校二年生。運動神経、学業の成績、容姿。どれをとっても人並みというまさに平々凡々を絵に描いたような人間です。
一方、妹は高坂桐乃。容姿端麗で学業優秀な中学二年生。部活は陸上部に所属しており、強化選手に選ばれるほどの実力の持ち主。さらに読者モデルとしても活躍しており、異性同性問わず人気のある女子中学生です。まさに現実離れした設定もりもりの女の子。フィクションじゃなかったらしばき倒されていたことでしょう。
これで性格までよかったらこんな完璧超人いるかよ、と突っ込みたくなるのですが、まあそんな人間この世にいないということで。
多彩な才能に恵まれた桐乃ですが、性格は小悪魔かサタンかというほど最悪で、兄の京介に対しては罵詈雑言はもちろん暴力も振るいます。シリーズ通して12巻あるのですが、最初の3巻までは桐乃に対してむかつきっぱなしで、どうしてこんな奴にここまで言われないといけないんだと京介の肩を持ちたくなったほどでした。
しかし、そんなほぼ完璧超人を体現したような桐乃でしたが、彼女にも悩みがありました。それは友達がいない、ということです。
いえ、友達はいます。学校にも陸上部にもモデル仲間にも。桐乃のことを慕っている同年代の同輩たちはたくさんいて、彼女たちとは仲のいい桐乃でした。
けれど、桐乃にはもう一つの顔がありました。これ以上設定を増やしてどうするんだと思うんですが、物語のキモになる部分ですのでこれは外せませんな。
さて、そのキモなのですが、実は桐乃はアニメやゲームが大好きで、可愛い二次元幼女を見てニヤニヤしたりハァハァしたりする重度のオタクだったのです。
人生相談、という名目で夜中にたたき起こされた京介は妹からのカミングアウトに唖然としましたが、だから何だという態度を取ります。それからというもの、ことあるごとに人生相談は繰り返され、京介は桐乃の悩みを解決していくのです。
最初は嫌々やらされていた人生相談でしたが、次第に京介も自発的に行動するようになりました。そこには当初、兄だから妹は助けるもの、という考え方があり、どれだけ嫌いでも兄妹なのだから無視はできないという理屈が彼の中にありました。
しかし次第に京介の中の桐乃の存在が〝妹〟から〝女性〟へと変わっていくのです。これは物語の完結当初、そしてテレビアニメ放送当初も話題を呼びました。
だいたいの内容としては『妹と恋愛とか気持ち悪ww』とかまあそんなような内容だったと記憶しています。
そしてその指摘は作中でも何度も言われますし、幼馴染の眼鏡っ子にも言われるのですから、作者である伏見つかさ先生もわかっていらっしゃることと思います。
しかしそんな壁を乗り越え、二人は互いの気持ちを確かめ合い、何と二人だけの結婚式まで挙げてしまうのです。びっくりしました。
けれど、今のままの関係でいられるはずがないというのは当人たちだってわかっていることで、二人だけの結婚式が終わった後、京介と桐乃は元の通り、仲良く喧嘩する普通の兄妹へと戻って行ったのでした。
とまあ、大体こんな感じで物語が進行していきます。妹のことが好きだから、と京介は自分を好きだと言ってくれた女の子を次々振っていくのですが、そのシーンが本当につらい。何がつらいってお互いにつらい。
フラれた女の子たちはもちろん、京介もつらい。誰も幸せになれない展開です。
それでも桐乃を選んだ京介に僕は拍手を送りたいと思います。
そんな感じで、今回はこのへんで。興味がわきましたら、ぜひ読ん…まあ読んでみてください。
それではまた、次回お会いしましょう。さよなら。
俺の妹がこんなに可愛いわけがない (電撃文庫) 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(13) あやせif 上 (電撃文庫) 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(14) あやせif 下 (電撃文庫)