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【書評】新選組鬼の副長、土方歳三。彼が新選組を組織した本当の理由とは。京極夏彦『ヒトごろし』

こんにちはこんばんは。プラスアルファでございます。

 

今回も僕が読んだ本のご紹介をさせていただきたいと思います。

 

今回ご紹介するのはこちら。

 

京極夏彦著『ヒトごろし』です。

 

総ページ数1083ページ。史実を元に作者の京極夏彦が綴る新選組の栄枯盛衰、そして土方歳三のあきれるほど一貫した生き様を描いた超長編時代小説です。

 

あらすじ

時は幕末。バラガキと呼ばれた少年だった土方歳三。彼はとある豪農の末弟として生を受ける。ある時、中間の男と名も知れない女が武士を名乗る男たちに切り裂かれる様子を目撃してしまう。その様子があまりにも美しく感じた歳三はそれ以来、人殺しに憑りつかれてしまうのだった。ただ人を殺すと罪に問われ、罰せられてしまう。最悪の場合は打ち首だ。そこで歳三は堂々と殺人を犯しても罰せられることがないような組織を作り上げていく。

壬生浪士組から新選組へ。歴史の大きなうねりの中で生まれた、一人の人外の話。なぜ土方歳三は新選組を作ったのか。それまで語られることのなかった歴史の、そして歳三の闇に迫る傑作時代小説。

 

というわけで『ヒトごろし』です。

 

こちらはタイトルの通り、人を殺したいがためにあれこれと策を弄する土方歳三の生涯を描いた作品ですね。

 

15の折、名も知れない二人の男女が殺される様を目撃してから、歳三の運命は大きく揺らぎました。おそらく、それがなければただの悪ガキで終わっていただろうと思います。そうした出来事があったからこそ、歳三は他人を殺してもいい瞬間、いい立場が存在するということを知ったのですから。 

 

バラガキとは悪童=クソガキという意味ですね。歳三はケンカが強く、ガキ大将でしたので。

 

後に新選組の局長として祭り上げられる近藤勇。幼少期は宮川勝太といいます。勝太は歳三とは幼馴染で、天然理心流と呼ばれる剣術を収めていました。新選組は天然理心流を扱う集団…というイメージがあるかもしれませんが、実際にかの剣術をふるったのは近藤勇、土方歳三、沖田総司の三人だけです(あくまで小説内では)。

 

しかも真っ当に天然理心流を扱っていたのは、近藤勇ただ一人。歳三はほとんど我流に近く、沖田は他にもいくつかの流派を齧っているという設定でした。

 

沖田は他の作品でもたびたび描かれる通り、少し頭のネジが飛んだ人物として描かれてしました。とはいえ、歳三ほどの狡猾さはなく、ただ生き物を殺せればいい、弱い物いじめが好きな子供、という印象でした。

 

芹沢鴨を暗殺して、近藤が無事に新選組の局長となった折、時代は動乱期を迎えます。

 

鎖国を続ける幕府を倒し、天皇を政治の中心に据えようとする尊皇派と外国を徹底的に排除して、現在のあり様を維持用とする佐幕派に分かれ、対立していたのです。

 

もともとくすぶっていた二つの派閥が表面化しだした、と言い変えてもいいでしょう。

 

そんな中、新選組は江戸幕府の方に着きます。もともと壬生浪士組は将軍警護の名目で集められたので。

 

開国派には、様本竜馬や勝海舟など、歴史を動かした立役者が活躍していましたが、ここではさらりとしかでてきません。あくまで歳三の生涯を彼の視点で描いたものなので。

 

けれども、情勢は不利。倒幕は成され、開国、そして文明開化へと時代は突き進んでいきます。

 

それでも、歳三は蝦夷(現在の北海道)に流れ、そこで戦いを続けるのです。

 

ヒトをころし続けた薬売りの百姓。そんな彼も、最後には銃弾に倒れてしまいました。

 

後の世のことを考えると、これでよかったのだろうと思います。沖田や歳三のような人外は、新時代を迎える前にいなくなるべきだというのが大方の意見だと思います。

 

歳三自身、作中で自分たちのような人外はいない方がいい、と言っていますしね。

 

それでも、おそらく歳三は無念だっただろうと思います。まだまだ人を切り殺したいと願っていた彼には早すぎる死でした。

というわけで、いかがでしたでしょうか。気軽に読んでみてください、といえる厚さではありませんが、もし興味を持ってくれた人がいましたらぜひお手に取ってみてください。

 

それではまた、次回お会いしましょう。さよなら。


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