オートマタという言葉をご存じでしょうか?
江戸時代に作れらたからくり人形や数世紀前に作られた文章を書く機械。
いわゆるロボットの先駆けとなった技術です。
オートマタの特徴は電気で動くのではなく、歯車とゼンマイを組み合わせた機構になっている部分です。
そのため、決められた単純な動きしかできず、今日のような人工知能などとは無縁の存在でした。
今回ご紹介するのはそんなオートマタの少年が活躍するライトノベルです。
ミサキナギ先生著、れい亜先生絵。第25回電撃小説大賞受賞作品「リベリオ・マキナ」です。
主人公は《白檀式》のオートマタ、水無月。彼の制作者である白檀春海は前代未聞の大量虐殺マシンを作った人物として歴史に汚名を刻んでいた。
《白檀式》の最後の一体である水無月は彼の所有者であるカノンとともに、多少陰湿なイジメに耐えながらも、何とか平穏無事に暮らしていた。
カノンは水無月の制作者でもある白檀春海の実の娘。カノンは歴史上の大罪人として後世にその名を残している母の無実を信じ、母が作り上げた《白檀式》のオートマタが人を殺すはずがないということを証明しようとしていた。
水無月は自らのことを戦うマシンとして認識しており、10年前に起こった人と吸血鬼の戦争に参加できなかったことを悔やんでいます。
なぜイジメに苦しみながら、カノンが自分を学校に通わせているのか理解できない水無月はなかなかカノンの望んだとおりの行動をとりません。
クラスメイトとの溝を埋められないまま学校生活を送っていたカノンと水無月。
そんなある日、彼の前にひとりの紅い少女が現れます。その名はリタ。
《赤の乙女部隊》を率いる吸血鬼の少女です。
リタは水無月をおそろしく強い人間として誤解していました。
その理由としては、前日に水無月が暴走したオートマタを破壊していたからです。それも、かすり傷ひとつなく。
それを見ていたリタは、彼をオートマタとしてではなく人間として認識してしまいます。
それもそのはずで、吸血鬼と人間の戦争が終わって10余年。戦闘用のオートマタは制作、所持を禁止されていたのですから。
戦闘用オートマタの存在など最初から頭になかったリタの勘違いはもっともです。僕も同じような立場だったら、きっとすぐに看破するのは難しいでしょう。
それに加えて、水無月は人間として振る舞えるように高性能な人工知能を有していたので、それも手伝ってオートマタと見破られるリスクは低いのです。
だからこそ、水無月は人の社会に溶け込めるというわけですが、なんとリタと決闘をすることに!
吸血鬼戦闘用に作られた水無月は本気を出せば一瞬でリタを下すことができるのですが、人としていきなさいというカノンの命令を遂行するために手加減をします。それが水無月を苦しめるのです。
けれど、それでもリタに勝利した水無月は彼女と仲間になります。
以上がこの作品の概要ですね。ここから、怒涛のバトル展開になるのですが、それは読んでみてからのお楽しみということで。
それではまた、次回お会いしましょう。さよならっ。