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【書評】つらく、苦しく、切ない…村上春樹『ノルウェイの森』

こんにちは。プラスアルファでございます。

 

というわけで早速、今回も一冊読み終えましたのでご紹介させていただきます。

 

今回ご紹介するのはこちら。

 

村上春樹著『ノルウェイの森』です。初版は1987年9月10日。著者の村上春樹氏初の恋愛長編小説となります。

 

僕はこれまで、村上春樹氏の小説を読んだことがなく、この『ノルウェイの森』で村上春樹氏の小説を始めて読んだことになります。

 

往年の大スター、ビートルズの名曲『ノルウェイの森』をタイトルの冠した本作は、そのタイトルから海外の、それも北ヨーロッパの国であるノルウェーを舞台にした小説なのだろうかと思っていました。そのため、海外での描写が多数あるのだと思っていたのですが、実際は違っていました。

 

舞台は(発売当時の)現代日本。主人公はとある大学に通う大学生のワタナベ君。そして彼の恋人の直子と、友人の緑。主な登場人物はその三人です。

 

彼ら三人を中心として、事故で死亡した高校時代の親友のキズキの影を想いながら、レイコさんや沢口さんなど、個性的な登場人物たちが彼ら三人の物語を深めていきます。

 

物語はワタナベ君の一人称視点で進み、淡々としていたという印象でした。それだけにワタナベ君の心理描写が克明であり、一見すると冷淡にも思える彼の感情の揺れ幅がダイレクトに伝わってきます。

 

普段は冷静沈着で落ち着ている印象のワタナベ君ですが、緊張したり恋をしたり喜んだりといった時に、それまでとは違った彼を見ることができるのではないかと思います。

 

そして、そんな彼の恋人の直子は感情の不安定な部分のある女の子でした。そのため、ワタナベ君とはある時には離れ、また近付き…というようなことを繰り返します。けれども、それはワタナベ君と直子には必要なことでした。

 

そして緑はワタナベ君と同じ大学に通う同級生で、二人は接していく内に心惹かれていきます。実際、緑はかなり気遣いのできる人物で、性的なことにも好奇心が旺盛であり、そして煙草をたしなみます。

 

読了後の感想…と言うか印象としては、全体的に淡々と時が流れて行った、というところでしょうか。終始ワタナベ君の感情の起伏が薄いように思われて、しかしそれだけに後半、ワタナベ君が一人旅をするシーンでは、今までにないくらいに大きく彼の感情が動いたのだとわかり、それが読者である僕をも心揺さぶります。

 

そして、本作のキーパーソンであるレイコさん。彼女の存在も重要でした。レイコさんがいなければ、きっとワタナベ君の感情はこれほど揺れることはなかったでしょう。そして最後に、悲しみに暮れる彼の心を包む大人の女性としてのある種の包容力(と言っていいのかどうかわかりませんが)は僕としても魅力的に映りました。

 

さて、本作では割と性的な描写が登場します。それは村上春樹氏の情報を知っていく上で前もってインプットしていた場面でしたが、実際に読んでみると想像以上に過激だなと感じました。

 

もちろん、それで作品の本質が損なわれるわけではなく、そして人の営みを描く以上は必要なことだとも思います。ただ、苦手な人もいるのではないかという思ってここで述べさせていただきました。実際僕はその部分は結構ドキドキしながら読みました笑。

 

というわけで、いかがでしたでしょうか?かなり有名な作品で、過去に映画化もされているので、知らない人はいないかと思います。もし、まだ読んだことがないよ、という人がいましたら是非お手に取ってみてください。

 

それでは今回はこのへんで。また次回、お会いしましょう。

 

さようなら。

 


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