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古典部シリーズ『ふたりの距離の概算』を大まかに紹介します!

 青春っていいなーって思います。失われたあの時間は二度とは戻らなくて、だからこそ大切だったんだなって社会人になってからようやく気付かされるのです。後悔先に立たずとは言うけれど、実際その通りだなってしみじみ思いますね。

 なんて、懐古に浸っている暇は社会人にはありません!という事で、今回は書評をしていきたいと思います。今回はこちら。

「ふたりの距離の概算 フリー」の画像検索結果

 米澤穂信先生の『ふたりの距離の概算』です。言わずと知れた古典部シリーズですね。

 あらすじとしては、後輩女子大日向ちゃんが退部した後、学校行事のひとつ、マラソン大会通称「星ヶ谷杯」の開催中に古典部を襲った悲劇と誤解を探偵役の奉太郎が解決していく、という内容です。

 新歓際で出会う。

 物語はマラソン大会「星ヶ谷杯」で奉太郎がスタートするシーンから始まります。しかし、事件はそれ以前に発生していました。構成としては、奉太郎がマラソン大会中に事件の事を考え、思い出しながら解決していく、という内容です。回想とマラソン大会での描写が交互に挟まれていますので、しっかりと読んでいないと混乱を起こすだろうと思います。

 さて、お話は遡る事新入生を各部が争う「新歓際」での事。お菓子作りをする部活「製菓研究会」に違和感を覚えた千反田さん。閑古鳥が鳴いていた古典部は暇を持て余していたので、奉太郎は暇つぶしにその話題に乗る事にした。製菓研究会のどこに違和感を覚えるのかわからない千反田さんは、奉太郎とのやりとりの中で少しづつその違和感の正体を掴んでいく。そこへ、ふたりの奇妙は話を聞きつけた大日向ちゃんが登場する、という流れでした。

なぜ千反田さんと大日向ちゃんは仲違いしてしまったのか。

 古典部シリーズを読んだ事のある人なら、千反田さんが穏やかな人格の人だという事は承知されている事だと思います。しかし、大日向ちゃんは千反田さんを「菩薩のような人」だと言いました。これは何も、仏のように心が広く、穏やかな人だという褒め言葉ではありません。「下面は夜叉」だと言っているのです。なぜ大日向ちゃんは千反田さんをそんなふうに言ったのか。そこには、大日向ちゃんが持つ誰にも言えない秘密があったのでした。その秘密を、もしかしたら千反田さんは知っているのではないかと戦々恐々としていたのです。それだけならまだしも、もしかしたら何か言われるのではないかと怯えていた。だからこそ、菩薩のよう、という言い方をしたのかもしれませんね。

 僕だったら、どうでしょう。自分の後ろ暗い秘密を知られていると思い込んでいる相手に向かって、こんな事が言えるでしょうか。たぶん言えません。

 もし言葉の裏の意味が通じなかったらそれでいいのですが、通じてしまった場合は更に自分の立場を危うくする事に繋がりかねないからです。

 実際には千反田さんは大日向ちゃんの秘密など知らなかったわけですが、結果としてふたりは仲違いをしてしまいます。そしてその原因は自分だと思い込んでいる千反田さん。そんなふたりの誤解を奉太郎が解き明かしていくのです。

最期に。

 この本を読んでの感想としては、やはりすれ違いって怖いなって事でした。事実無根な事であっても、思い込みで修復不可能なくらいの関係性の崩壊を招く危険があります。特に自分に後ろ暗い事があったりしたら、それの発覚を避けるために言葉数は少なく、やりとりも不自由になるのは当然でしょう。…まあ僕は他人に言えない後ろ暗い事なんてないから別に大丈夫だけどね!


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