松村比呂美著『拾われ地蔵』
あらすじ
拾った者の願いを叶えてくれる木彫りのお地蔵様がある。ある時は母と娘を引き合わせ、ある時は病を治し、ある時は少女の願いを現実のものとする。唐突に目の前に露わあれ、願いを叶えると姿を消す不思議なお地蔵様。しかし、それもいいことばかりではないようだ…。
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お地蔵様というと、道路の端っこの方でひっそりとたたずんでいらっしゃる。そういうイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?
現代は昔と違って、あまりお地蔵様というものに馴染みがありません。僕の生活の中において、お地蔵様というのはむしろ、関わることの少ないように思えます。
そんなお地蔵様も、江戸の時代には庶民を始めとして多くの人の生活の近くにあったようです。
本書では、そんなお地蔵様の中でも、木彫りのお地蔵様がお願いを叶えてくれる、という内容になっています。
そんな拾われ地蔵を一言で表すとするなら『出会ったらその場で手を合わせて立ち去るのが吉』ですかね。
というのもこのお地蔵様、願いを叶えてくれるという噂通り、願いを叶えてくれます。
けれど、全て本人の望み通りになるのかというとそうでもないようです。
本書の中では、遊郭の最高峰である吉原を舞台にしたエピソードがあるのですが、その結末があまりに心に痛い終わり方をするのです。これでいいのか?という疑問を抱かせてくれる、かなり印象的なお話でした。
さて、いかがでしたでしょうか?本書『拾われ地蔵』は単話形式でかなり読みやすいと思います。もし興味を持たれた方がいましたら、ぜひ読んでみてください。
それでは、また次回お会いしましょう。さようなら。