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【滅びの前のシャングリラ】一ヶ月後、世界は崩壊する。そんな中でも必死に、懸命に生きる四人の男女の物語。

凪良ゆう著『滅びの前のシャングリラ』

 

 

あらすじ

一ヶ月後に小惑星が地球に振ってくる。小惑星の衝突によって、人類は壊滅的な被害を被り、世界は滅亡の危機に瀕し、日本は消滅する。そんなニュースや噂があちこちでささやかれる中、人々は秩序を忘れ、ただ今日の欲望を満たす事だけを考えていた。そんな一ヶ月後に死を宣告された荒廃した世界を、四人の登場人物の視点で描きだす。

 

 

本書はまさしく「明日世界が終わるとしたら何をしたい?」という子供の頃に一度は考えた事のある妄想をテーマにした小説です。

 

明日世界が終わるとしたら。人々は正気では入れらず、一ヶ月後に希望が無くなれば今日だって法律やルールを守らない。けれど、そんな人々の事を誰が責められるのでしょうか。

 

人は未来に希望があるからこそ、今日を理性的に生きて行こうとする生き物です。

 

今日より明日はよくなる。明日より明日は更によくなる。

 

どんなに小さくても、ささいな変化であっても、何かしらが改善しているという実感があればこそ、ルールに従った行動をしようと心がけます。

 

「明日世界が終わるとしたら、何がしたい?」その問いに、本書の主人公四人はそれぞれ自分なり答えを持っていました。

 

一人は男子高校生。ぽっちゃり体系で、心優しい少年です。

 

彼は好きな人の力になる事を望みました。自分が好意を寄せる女の子の力になって、一緒に彼女の目的をやり遂げようとします。そういう生き方もありでしょう。

 

一人は好意を寄せられている女の子です。彼女はある目的のために男の子と一緒に旅に出ます。その度の途中で、違う目的に出会ったりします。

 

三人目は、男の子の母親です。彼女は息子と、息子が思いを寄せる女の子を守るために、ともに旅をします。最後の瞬間には、愛する家族とともにいたいと願って。

 

四人目は、ヤクザの下っ端です。これまでの人生、ろくな事がなかったと嘆く彼。しかし最期の瞬間には、誰かを守り、独りぼっちではない事にほっとするでしょう。

 

四人が四人とも、全く違う目的(あるいはほとんど一緒と言えるかもしれません)を持って、最後の一ヶ月を過ごしていました。そんな、荒廃と崩壊に向かう世界の中でそれまで気が付かなかった事、気付かないように心にふたをしていた事に気付いて行く主人公たちの姿が、ある意味では美しく、ある意味では見ていられないような気分にさせてくれます。

 

世界に悲観し、残り一ヶ月の世界の中で悲嘆に暮れる人々の中にあって、彼らは目的を持ち、その目的のために行動していました。果たして、僕に同じような事ができるでしょうか?自信はありません。

 

しかし、明日世界が終わるという場面でなくとも、絶望に沈んでしまう事があるでしょう。そんな時に、本書の主人公たちのように振舞えるか。

 

世界が終わるわけでなくとも、絶望や困難は常に僕たちの側にあります。僕たちが暮らしているのはそんな世界だと思います。

 

でも、そういう状況の中でも、希望や目的を失わず、行動できる人間でいたいですね。

 

というわけで、凪良ゆう著『滅びの前のシャングリラ』でした。

 

もしこの記事を読んで、本書に興味を持っていただけたという方がいましたら、ぜひ下のAmazonのリンクから購入してみてください。

 

それではまた、次回お会いしましょう。

 

滅びの前のシャングリラ


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