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【青山美智子/お探し物は図書室まで】『木曜日にはココアを』の作者が送る明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説

こんにちはこんばんは。プラスアルファでございます。

 

というわけで、今回も一冊読み終えましたのでご紹介します。

 

今回ご紹介するのはこちら。

 

青山美智子著【お探し物は図書室まで】です。

 

2021年本屋大賞ノミネート作品。コミニティハウスの図書室の司書である小町さゆりさんが、人生における様々な場面で訪れる悩みや不安に対して、意外な選書と可愛らしい手作りの羊毛フェルトの付録で後押しする、読む人の背中を押してくれるような小説です。

 

総ページ数は300ページ。全5章からなる本作は、それぞれの章で主人公が異なります。

 

ある時は婦人服の販売員。またある時は中小企業の経理。またある時は元雑誌編集者。そしてまたある時はニート。さらにある時は定年退職者。

 

それぞれの章で登場するのは、年齢も性別も職業もばらばらな人物たち。それでも、彼らには他人にはなかなか言えないそれぞれの悩みがありました。

 

転職、開業、大好きだった仕事から遠ざけられたり、自己嫌悪に苛まれ続けたり。仕事以外にこれといった趣味がなく、定年後の人生を持て余してしまったり。

 

彼らは、ある意味では全く違う人生を送っていました。もちろん、知り合いというわけでもなく、これといった接点もなく。けれども、なぜかみな、何かを求めていたかのように、そして吸い込まれるようにして小町さんのいる図書室を訪れます。

 

図書室には小町さんと森永のぞみちゃんといううら若い女の子がいました。主に小町さんが活躍するのですが、この、のぞみちゃんにも注目して読んで欲しいなと思います。

 

それというのも、のぞみちゃんは司書ではなく司書補という役柄らしいのですが、溌溂とした性格で、可愛らしい人物であり、不愛想で一見すると不愛想な小町さんとの橋渡し役を担っているからです。

 

それだけではなく、彼女の存在は後半の章に連れて際立ってきます。図書館ではたらく可愛い女の子っていいですねえ笑。

それはそれとして、小町さんは来室者の希望の書籍を選んであげていました。それはもう、鬼のようなスピードでキーボードを打つ姿はまさに悪鬼のごとく。

 

そして、彼女に示された本。もちろん、その中には来室者の希望した本があるのですが、その中に一冊だけ、首を傾げたくなるような本があります。

 

例えば、第1章だとエクセルなどのパソコン技能の本を探していたのに、どういうわけか絵本の『ぐりとぐら』をおすすめされたり。

 

これには、来室者も僕も首を傾げました。なぜぐりとぐら?しかし、そこは司書をしていた勘…とでもいうのでしょうか。小町さんはその時その時で、その人にあった一冊をおすすめしていたのでした。

 

そうした一見すると意外で何の脈絡もなさそうな本たち。登場人物たちは、そうした本を読みつつ、それを生活の中で考え、自分なりの答えを見つけていきます。

 

決して、小町さんがまるで名探偵のように快刀乱麻な解決策を提示する、というわけではないのが本作の魅力だと思います。

 

あなたはこうしなさい、とかこうした方がいいなどと言わず、黙って本と付録のフェルト人形を差し出す。そして来室者はそれらをもとに考え、自分だけの結論にたどり着く。それが正解かどうかなんて本人たちにすらわからないけれど、でもそれでも、自分を覆っていた厚い殻を割り、そして新しい自分、新しい世界を発見していくのが、読んでいてとても美しいし、勇気づけられました。

 

さて、今回はここまでにしたいと思います。もし、興味を持ってくれたという人がいましたら、ぜひ読んでみてください。

 

それではまた、次回お会いしましょう。さよなら。

 

お探し物は図書室まで

 


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