プラスアルファの本棚

僕の好きな事を勝手気ままに紹介します!youtueもやってます!


スポンサードリンク

【書評】傷付き、生まれ、育てる物語。加藤シゲアキ『オルタネート』

こんにちはこんばんは。2020年も残すところ数時間となりましたね。プラスアルファでございます。

 

というわけで、本日大晦日。一冊読み終えましたのでご紹介いたします。

 

今年最後に読んだ本はこちら。

 

加藤シゲアキ著『オルタネート』

 

学生限定のマッチングアプリ『オルタネート』を通じてしりあった男女。AIが導く恋の行方は決して甘いだけではなくて……傷付き合い、別れ、また出会う。『オルタネート』を通して、少年少女は恋と愛を知っていく。

 

作者の加藤シゲアキさんは作家にして男性アイドルという二つの顔を持つイケメン作家です。僕にはないものをたくさん持っているので羨ましい限りです笑。

 

『ピンクとグレー』で作家デビューし、アイドルとして活動していく傍ら、作家としても活動を続け、小説5作品とエッセイを一つ、書かれています。

 

そして6作目となる本作『オルタネート』で164回直木賞候補作に選ばれました。

 

本作は学生限定のマッチングアプリ『オルタネート』を通じて出会った男女の恋愛模様を描く作品になっていますが、しかしただの恋愛小説ではありません。

 

『オルタネート』は学生限定ということもあり、セキュリティ面でも万全の安全性を確保しています。そのため、学生たちからの信頼も厚く、何より『オルタネート』で数多のカップルが誕生した、という実績もあります。

 

もちろん、マッチングアプリですから恋愛のパートナーを探す、という目的においてよく使われているようです。が、その他にも同じ趣味を持つ友達を探したりと、その用途は多岐に渡ります。

 

そんな『オルタネート』を介して、新見容(にいみ いるる)、伴奈津(ばん なづ)、楤丘尚志(たらおか なおし)を始めとして、たくさんの登場人物が悩み、苦しみ、時には涙を流しながら、出会っていきます。

 

作品全体の印象として、一見すると柔らかい綿に包まれている名もない種、という印象を持ちました。学生であり、社会的にも、また『オルタネート』上であってもセキュリティで守られている容たち。確かにそれは、傍から見るとさながら包み込まれているような感覚でしょう。

 

けれど、それは僕たちいわゆる『大人』の勝手な思い込みで、例え綿の中であっても環境がいいとは限らず、傷付き傷付けてしまう。そんなことが普通に起こり得ます。

 

まして『オルタネート』を通して知らない他校との生徒ともつながれるのですから、傷付く機会はたくさんあるでしょう。

 

そんな傷を乗り越え、また前に進んでいく。そして、登場人物たちは新しい自分を見付け、そこから育てていこうとしていました。それは僕たちには難しく、また学生ほど自分のことを大切にできません。ぜひとも、大切に、自分を育てていきたいものですね。

 

文体は全体的に柔らかく、けれどもその合間合間に固い芯のようなものを覗かさるかのようでした。

 

全24章構成になっていて、少しづつそれぞれの登場人物にスポットを当てた話の作り方になっています。けれども決して独立しているわけではなく、だからこそ、次へ次へとページをめくる手が止まらないでしょう。

 

ちなみに僕が好きなエピソードは楤丘尚志の部分でしたね。バンドマンである彼の行動力とキャラクターには心を掴んで離さないものがありました。

 

それまでの自分を切り捨て、新しい自分に生まれ変わり、奇麗な花を咲かせようとするかのような物語でした。

 

さて、いかがでしたでしょうか?もしこの記事を読んで興味を持ったという方がいましたらぜひ読んでみてください。

 

それではまた、次回お会いしましょう。さようなら。

 

Amazonリンク

オルタネート


スポンサードリンク