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【山本文緒/自転しながら公転する】彼女の人生であり、そしてあなたの人生でもある。

こんにちはこんばんは。プラスアルファでございます。

 

今回も一冊読み終えましたのでご紹介します。

 

今回ご紹介するのはこちら。

 

2021年本屋大賞ノミネート作品。山本文緒『自転しながら好転する』です。

 

あらすじ
高校を卒業後、東京のとあるアパレルショップで働いていた都は、しかし母親が更年期障害を発症したのをきっかけに地元のアウトレット店で働き始める。母親を手伝いながら働く都。そんな彼女の前に、同じモール内にある回転寿司屋の貫一が現れ、二人は交際することに。
恋愛、結婚、親の介護、友人関係。人付き合いの大変さと、それでも誰かを愛し、愛されることの喜びに満ちた作品。


というわけで『自転しながら公転する』でした。

 

登場人物は主に四人。

主人公の都。あだ名は「ミャー」だったり「おみや」」だったり。美人とまではいかないが、可愛げのあるよく他人に好かれるタイプ。胸が大きいという描写も多数。

 

都の恋人の貫一。中卒。実家が寿司屋だったが、父親が亡くなったことをきっかけに閉店。その後は多数の割烹や寿司屋を転々としている。一見するとヤンキーな見た目をしていて面倒見がいい兄貴分。

 

都の母の桃枝。更年期障害を発症。軽度のうつ病のような症状も併発し、家事はおろか、睡眠や食事もままならない生活に。自分の感情のコントロールも難しく、娘や夫に迷惑をかけていることに引け目を感じてる。昔ながらの典型的な専業主婦。

 

都の父。昔かたぎのサラリーマン。亭主関白というほどではないが、少々頭の固い部分も。妻や娘のことでストレスが倒れてしまう。

 

ニャン君。貫一が働いていた寿司屋の外国人店員だった青年。実家はお金持ちで、すごくふわふわとした性格。素直で感情がすぐに表に出る。割とキーマン。

 

本書はおそらく、人生において誰のところにも訪れる(社会的に見た場合)些細な問題を多数集めています。親のこと、恋愛のこと、結婚や出産、経済的自立。それら全てが個々に訪れる人もいれば、都のようにいっぺんい訪れる人もいるでしょう。

 

両親は病気や介助や仕事のストレスがあり、恋人は不安定。子供を育てることはおろか、結婚すら怪しい。経済的にも精神的にも不安で仕方がなく、しかし自分ではどうすることもできずに無力感と自己嫌悪に陥りながら、ずるずると時間だけが過ぎていく。

 

そんな中を、彼女たちは彼女たちなりに一生懸命に生きています。もしかしたら、作品にはなかったですが、自殺を考えた瞬間もあったかもしれない。

 

仕事の人間関係やトラブルが不安定な都を更に追い詰めていきます。上司からのセクハラやパワハラなどはその最たるものです。

 

それでも、恋人の貫一には相談できず、一人悶々とした日々を過ごしていました。

 

おそらく、辛かっただろうと思います。まるでどん底にいるような、現代の不幸のあらゆる面を煮詰めたような部分だったと思います。

 

しかも、終盤に貫一は警察に捕まってしまい、そのまま音信不通に。けれど、その離れていた時間、そして再会した瞬間に胸の内にわだかまっていた彼への思いを再確認することができました。

 

最期には、都も周囲も幸せになれたのだと思います。

 

きっと、つらいことがあってもそれを乗り越えていけるのだと、本書は耳元でささやいてくれる、そんな作品なんだろうな、と思いました。

 

というわけで、今回はここまでにしたいと思います。興味を持ってもらえたという方がいましたら、ぜひ読んでみてください。

 

それではまた次回お会いしましょう。さようなら。

自転しながら公転する


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