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【書評】アーティストたちの熱い思いが、心の奥底を上書きする。池田明季哉『Overwrite -ブリストルのゴースト‐』

こんにちはこんばんは。プラスアルファでございます。

 

今回も一冊読み終えましたんのでご紹介させていただきたいと思います。

 

 

今回ご紹介するのはこちら。

 

池田明季哉著『Overwrite ‐ブリストルのゴースト‐』です。

 

第二十六回電撃小説大賞選考委員奨励賞を受賞した本作はイギリスはブリストルを舞台にした、アーティストたちの物語です。

 

主人公は日本からの留学生で、ブリストル大学に通うヨシ。彼は語学の鍛錬も兼ねて、日本のレトロゲームを多く扱う店でアルバイトを始めます。

 

彼にはちょっとした困りごとがありました。それはアルバイト先の先輩であるブーティシアがまったく仕事をしようとしない、ということです。

 

美人だけど口の悪い先輩に何かをなだめながら仕事をする日々。そんなある日、彼の務める店にひとつの落書きが発見されました。

 

小さく、だけど目立つように描かれたその落書きを見て、ヨシは困惑しブーティシアは顔をしかめます。そう、それは落書きではなくアート。グラフィティと呼ばれる、日本にはまず存在しない文化なのです。

 

他人の店の前にこんなものを書くなんて迷惑極まりない、とヨシとブーティシアは落書きの犯人捜しを始めます。そして、その犯人を見つけ出すのですが……。

 

ヨシとブーティア。そして作品に登場する様々なグラフィティライターと呼ばれる人たち。誰に頼まれたわけでも、お金がもらえるわけでもなく、むしろお金がかかり、更に逮捕されるリスクもある。

 

そんなグラフィティと呼ばれるものに憑りつかれ、情熱を傾ける彼らと接する内に、ヨシに…そしてブーティシアの心にも変化が生じます。

 

Overwrite…上書きするのは、グラフィティだけではない。そうした活動に触れていく内に、ヨシの、そしてブーティシアたち自信もオーバーライトされていく。そうした、オーバーライトという言葉に込められた二重の意味合いに、どこかハッとさせられる思いでした。

 

更に、作品に登場するグラフィティという文化、そしてそれを巡る大きな騒動。それは作者である池田先生が実際にイギリスに滞在した経験を元に描かれています。

 

日本人たる僕たちにはわからない、知らないことが多々あり、そうした意味合いでも面白い作品なのではないかと思います。

 

というわけで今回はここまでにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

もし興味が出た、というひとがいましたら、下の方にAmazonのリンクを張っておきますのでぜひ購入して、読んでみてください。

 

それでは、また次回お会いしましょう。さよなら。

オーバーライト――ブリストルのゴースト (電撃文庫)


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