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【書評】ホームズ、弟子を取る?ローリー・キング『シャーロック・ホームズの愛弟子』

こんにちはこんばんは。プラスアルファでございます。

 

今回も一冊読み終えましたのでご紹介をさせていただきたいと思います。

 

今回ご紹介するのはこちら。

 

ローリー・キング著『シャーロック・ホームズの愛弟子』です。

 

コナン・ドイルが生んだ世界的名探偵シャーロック・ホームズ。第一線を退き、探偵として引退したシャーロックは蜜蜂を育て、科学実験に打ち込みながら余生を送っていました。

 

そんな彼の前に現れたのは、十八歳の勝気な少女、メアリ・ラッセル。男女同権論者である彼女は、シャーロックとともに事件を解決へと導いていきます。

 

本書はいわゆるパステーシュ作品(原作者以外の作家が描いた二次創作作品)なので、正典(コナン・ドイルが執筆したホームズ作品)とは多少異なる点がありますが、パステーシュとしては非常に評価が高く、世界で翻訳されています。

 

さて、本書のシャーロックは正典よりもかなり高齢になった六十代の姿で描かれています。とはいえ、その頭脳の冴えや俊敏さはそのままに、しかし思慮深さや人の気持ちを考える力などは、原作よりも彼をより身近で親しみ易いものにしてくれるでしょう。

 

総ページ数は翻訳者のあとがきを除いて五百二十三ページ。大きく分けて三つの事件について、シャーロックの弟子であり、対等な友人でもあるメアリ・ラッセルの視点で語られています。

 

コナン・ドイルのホームズシリーズが彼の友人で助手のジョン・ワトスンの視点で描かれていたのに対して、本書は主人公でもあるメアリの視点で描かれている部分に注目して読んで欲しいと思います。

 

ワトスンから見たシャーロックとメアリから見た彼。それぞれに年齢や時代、考え方や性別の違いがあり、それがふたりのシャーロック像に微妙な違いをもたらしていることに気が付くはずです。

 

ひとつめの事件は、バーカー夫人の夫であるバーカー氏が決まった時間に自室に閉じこもり、何やら具合が悪く、顔面蒼白になっている様子なのだということを訴えてきたのです。それを解決すべく、夫人と彼女の夫の周囲を調べ、見事事件は解決されました。

 

ふたつめの事件はアメリカの上院議員の愛娘が誘拐されたので、助けて欲しいという事件。これはシャーロックに対して個人的に着た依頼だったのですが、事件から一週間以上経過しているという時間的ハンディ。そして既に地元警察が捜査を行った後に調べなければならないという屈辱。そのふたつが、シャーロックをこの事件に対して二の足を踏ませるのです。

 

現場は荒らされ、証拠品や犯行当時の様子などは人の足や風雨によって流されてしまった後だったので、それほど得る物はないだろうと思われいていたのでした。

 

次なる事件はシャーロック自身が標的でした。彼が毎日世話をしている蜜蜂の巣に爆弾をしかけられ、危うく死の危険に晒されるところだったのです。シャーロックはメアリを連れ、一端逃亡生活を送ります。

 

どれも正典に負けないくらい、スリリングでパワフルな内容でした。老齢でありながらバイタリティに飛んだシャーロックノ行動は、あの頃と変わらず僕たちをわくわくさせてくれます。

 

また、正典では主に移動手段は馬車か徒歩だったのですが、本書では、自動車も登場します。そうした違いが、彼が活躍した十九世紀末のロンドンとは違う時代に移り変わっているのだと教えてくれる部分も、面白いポイントのひとつだと思います。

 

さて、今回はここまでにして、実際には本書を手に取っていただきたいと思います。ぜひ、年老いたシャーロックと彼の愛弟子のメアリの活躍を楽しんでいただきたいです。

 

それではまた、次回お会いしましょう。さよなら。

 

 シャーロック・ホームズの愛弟子 (集英社文庫)


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