神話の時代から現代にいたるまで、人は多くの物語を残してきました。
その最たるものが北欧神話、日本神話などの神話です。多くの場合、天国や極楽浄土、地獄などが存在し、宗教によっては輪廻転生などもあると説きます。
けれど、現在の僕達は過去のそうした神話をそれほど信用していませんし、信頼していません。中にはかなりそうしたものを心のよりどころとしている人もいますが。
現代はマシンとネットの時代です。人々は多くの場合、気軽にネットに接続でき、簡単に必要な知識を得、仕事やプライベートも充実させていきます。
それは宗教関係者も活用している事で、この事実だけを取ってみても、過去の宗教戦争をしていた時代と比べて様変わりしたと言っていいでしょう。
とまあ前置きが長くなってしまいましたが、今回ご紹介するのはこちら。
ユヴァル・ノア・ハラリ「ホモ・デウス」です。前著の「サピエンス全史」が過去から現代までの道筋を振りかる著作だったのに対して、この「ホモ・デウス」は現代から未来に思いを巡らせ、今後の人類がどうなっていくのかを考える本になっています。
現代科学は人の真の姿を明らかにしつつあります。
人は長い間、馬や羊、うさぎとは違う高等な生物だと考えられてきました。
神は人を作り、高い知能と高潔な魂を与えたと考えられてきたのです。
しかし、近年に至り、僕達を構成する要素は馬や羊、うさぎと小さな差異はあるものの、広い目で見た場合には同じものだと言えるというのが本著の主張です。
馬や羊、うさぎは本当にプラグラミングされたアルゴリズムに従って生活をしている。そして人間もまた、脳にインストールされたプログラムによって動いている。
僕達が日々、意思決定を行っていると思い込んでいるものは、実はただのアルゴリズムだったというのが、現代科学の答です。
では、人は他の哺乳動物と同じなのか?と問われれば、答えはノーです。
確かに僕達人間は他の哺乳動物とアルゴリズムの点では似通っています。
しかし、僕達に近い知能を持つと言われるチンパンジーなどをに目を向けた時、同じ人間だとは思えません。
それは彼らにはなくて、僕達にはあるものが備わっているからだと著者は言います。
それは柔軟なネットワークを形成する力です。
例えば、チンパンジーの場合だと群れを作ります。ボスがいて、その下にメスのチンパンジーや他の一般の仲間がいるというのが普通です。
しかし、では彼らは他の群れのチンパンジーと遭遇した時に、協力して食事を探したり寝床を探したりできるのか…できないはずです。
おそらくすぐにケンカになり、それぞれの群れのボスが新しい群れのボスになろうと決闘をするはずです。
しかし人間の場合だと、そんな事はありません。
とあるIT企業のCEOと別のIT企業のCEOが拳を交えて血みどろの戦いを繰り広げる事はありませんし、ほとんどの場合は役割を分担して業務に臨むでしょう。
これが、人が人たる所以だとハラリ氏は言います。
僕達は動物と似通ったアルゴリズムによって形成されていますが、微妙な差異によって人たらしめられているのです。
そして、現代より先の未来で人はどのように進化していくのか、それについても本書の中で言及されています。
まず、人は神のごとき存在になるという予測です。タイトルにもある通り「ホモ・デウス」となるのです。
人は寿命を完全になくすだろうと言われています。更に、病気や事故を負った際にも、致命傷であっても死なせる事はなくなるだろうとも。
同時に富裕層、貧困層の格差は広がる事も懸念されています。
労働はAIや機械に取って代わられ、働かなくてもよくなるだろうと言われてもいます。
purasuarufainburogu.hatenablog.com
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技術の発展。すなわちシンギュラリティへの到達はいい意味でも悪い意味でも僕達の生活を一変させてくれるでしょう。
本書を読んで、未来のあり方を考えるきっかけになれば幸いです。
ぜひ、読んでみてください。それではっ。