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【書評】父親を殺害した娘。その胸に抱えた闇。島本理生「ファーストラヴ」

こんにちは。今回も1冊読み終えましたのでご紹介を。

 

今回ご紹介するのはこちら。

 

島本理生著「ファーストラヴ」です。

 

アナウンサー志望の聖山環奈。彼女はなぜ、父親を殺さなくてはならなかったのか。そこには、何かを違えた家族の姿があった。

 

そんな感じで、第159回直木賞受賞作品。2021年には映画化も決定している本作です。

 

この作品を読んで、僕が感じたことをつらつらと語っていけたらいいな、と思います。それではいってみましょう。

 

主人公は臨床心理士の真壁由紀。彼女は写真家の夫と幼い息子を持つ、ごく一般的で幸せな家庭を持つ兼業主婦でした。夫の真壁我聞は優しく、温和な性格で、作中でも由紀は我聞のことを慕っているのだとわかる描写が多くありました。

それ自体は何も言うことはありません。未婚で結婚生活に憧れている人なら、たぶん誰もが理想とする家庭ではないかと思います。

 

しかしそんな由紀の下へ、とある書籍の執筆依頼が舞い込んできました。

 

その内容こそが、聖山環奈の起こした父親殺傷事件を扱ったものだったのです。

 

臨床心理士という立場から書籍を執筆するために、由紀は環奈と接触します。刑務所の面会室で彼女と言葉を交わしていくたびに、由紀の環奈に対する印象は少しづつ変化していきました。

 

環奈の家庭事情、恋愛歴、父親との関係、かつての恋人、生育環境…様々な要因が現在の彼女を形作り、そして父親を殺害する、という強行にいたらしめたのだと判明します。

 

彼女の抱える闇といびつとも言える家族関係。徐々に長い時間をかけてねじ曲がっていく性格とそこにつけ込む大人たち。読んでいて、正直あまり気分のいいものではありませんでした。

 

もし環奈が真っ当で優しい人たちの側にいたら、と考えただけで、胸が苦しくなってしまいます。

 

どうして環奈が父親を殺すに至ったのか、ぜひその目で直接確かめてみてください。

 

というわけで今回はここまでにしたいと思います。それではまた、次回お会いしましょう。

 


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