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【書評】超能力が支配する匣の中で起こった殺人。今村昌弘「魔眼の匣の殺人」

こんにちは。今回も一冊読み終えましたのでご紹介します。

 

今回ご紹介するのはこちら。

 

 

 

今村昌弘著「魔眼の匣の殺人」です。カバーイラストは遠田史帆さん。

 

前作「屍人荘の殺人」の続編として書かれた今作は、前作を読んでから読破していただくことを強く推奨します。

 

前作から引き続き、剣崎比留子さんを探偵役に、ミステリ愛好会会長、葉村護君を助手役に据え、物語を展開していきます。

 

舞台は好見と呼ばれる土地の最奥に位置する通称「魔眼の匣」と呼ばれる建物。そこに集まった11人の男女。その男女の内、男性2人に女性2人の計4人の人物が死亡するという予言がなされた。

 

「魔眼の匣」はかつて班目機関の研究施設で、そこでは大まじめに超能力研究がなされていたとか。事の真偽と班目機関に関する情報を集めるため、比留子と葉村は「魔眼の匣」へと向かった。

 

そこで出会ったのは、9人の男女。全員一癖ある人達ばかりで、内数人は「魔眼の匣」に住まう〝サキミ〟と呼ばれる女性に会うために訪れていた。

 

それぞれが各々の目的を言い合う中、唯一帰路へと通じる橋が燃え落とされ、孤立させられてしまう。そして、予言の通り1人が死亡し、それをきっかけに次々と殺人が実行されてしまう。

 

前作は細菌テロによりゾンビと化してしまった人々に囲まれ、陸の孤島に閉じ込められてしまった、という特殊な設定だったのですが、今回は唯一外へと通じる橋を落とされるといういたってオードソックス?…前作と比べると幾分現実味のあるクローズドサークルの作られ方でした。

 

前作を読んでいて「ふお!なんか突然パニックホラーが始まった!」とちょっとミステリとして読むのきついかなと序盤に思ったのですが、今回は「何だと!?」と言う感じでした。

 

それというのも、橋が落ちた原因が付け火、つまりは放火なので。単純に放火犯に腹が立った、という印象でした。

 

本作は推理物、と言う意味でのミステリ、というだけでなく、超能力物という意味でのミステリとしてもすごくいい作品だと思います。

 

ミステリには推理物、と言う意味はもちろん、広義には神秘的と言う意味もあるので。

 

比留子たちが訪れた「魔眼の匣」で畏怖を集めているのは〝サキミ〟と呼ばれる女性。彼女はいわゆる予知能力者で、これまでにも数々の予知を的中させてきた凄腕です。

 

そして、彼女と同じ力を持つ十色という女の子。彼女もまた、予知能力を持った人物でした。

 

一見すると合わせるのが難しそうな超能力と推理物。ですが、超能力は万能ではなく、さらには人間の恐怖を増幅してしまいかねない側面も持っているのだなと思いました。

 

他のSF系の作品だと、超能力は飽和していて割とスタンダードなものとして扱われることが多いのですが、黎明期でまだ世に浸透どころか認知すらされていない状態だと小説内のようなことが起きても不思議ではなないのではないでしょうか?

 

いずれにせよ、超能力は個人の才能として描かれることが多いです。才能である以上限界もあるし、万能ではないということを肝に銘じておいた方がいいのかもしれません。

 

そして剣崎比留子の推理。いやあ、今回も鋭く切れ味のあるものでした。

 

と、まあ今回はこのへんで。もし読んでみたいと思った人は「屍人荘の殺人」と合わせて読んでみてください。

 

それでは、また次回お会いしましょう。

 


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