こんにちは。今回も1冊ご紹介したいと思います。
今回ご紹介するのはこちら。
綾辻行人著「霧越邸殺人事件」です。上下巻存在するのですが、下巻まで含めるとネタバレになってしまいますので今回は上巻のみのお話です。
舞台は激しい吹雪によって外界から隔絶された洋館「霧越邸」。そこは来る者の本来の姿を映す〝鏡〟と呼ばれ、摩訶不思議な雰囲気をまとっていた。
そんな「霧超低」に身を寄せるのは、吹雪の中で遭難しかけた「暗色天幕(天幕はテントと読ませる)」のメンバーと霧超邸の主、白須賀秀一郎を始め、洋館で暮らす人たちだった。
使用人を含めた家人たちの不気味な雰囲気に圧されながら、「暗色天幕」のメンバーは白須賀氏の好意の下、一夜を明かした。
しかし、そんな「霧越邸」で殺人が行われてしまう。犯人を特定するため、白須賀氏によって「探偵役」を任じられた「暗色天幕」の発起人であり代表者である槍中は彼の言葉通りに犯人を特定するため、推理を重ねていく。
まず、第一に何を置いても注目するべき点はこの事件が外界と全ての連絡手段を絶たれた陸の孤島…いわゆるクローズドサークルと呼ばれるものに分類される点でしょう。
クローズドサークルとは読んで字のごとく閉鎖された空間と言う意味ですが、こういった閉鎖空間で殺人を行うのは非常に危険です。後々警察が介入してきた時に犯人を特定されやすくなります。
フィクションだからそこは考えなくてもいいという向きもあるでしょう。しかし現場にいる登場人物たちにとっては、あくまで物語の中こそが現実であり、クローズドサークルは殺人を行うにはハイリスクローリターンな環境と言わざるを得ません。
では、まず考えるべきはなぜこんな状況で殺人を行ったかということです。吹雪の中の「霧越邸」でなければいけない理由が何かあったはずなのです。
物語の中に散りばめられたヒントを拾い、そうして考えていくことでおのずと犯人は特定されるでしょう。しかし、読者が思い浮かべた犯人はきっと間違いです。
さて、では一体どんな人物が犯人なのか。それはぜひ読んでみて、ご自身で確かめてください。
というわけで、今回はここまでにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それはでまた、次回お会いしましょう。