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【書評】探偵嫌いと魔女の謎構築理論。小林一星『シュレディンガーの猫探し』

こんにちはこんばんは。プラスアルファでございます。

 

さて、これを読んでいるみなさん。みなさんはミステリーと聞くと、どんな物語を思い浮かべますか?

 

ホームズとワトソンが大冒険の末にたどり着く真実。安楽椅子に座った老婆がその場から一歩も動くことなく謎を解く。正義感に溢れた刑事が体力と警察としての権限と知恵をフル活用して犯人を追い詰める。

 

いずれにしても、ミステリーの物語には謎があり、そしてその謎を探偵役が解決する。そんなある種のパターンのようなものが存在しています。

 

しかし、今回ご紹介するのはそんなミステリーのパターンからは外れたミステリー。

 

そう、探偵役が謎を引っ掻き回し、真実を捻じ曲げるミステリーなのです。

 

前置きが長くなりました。今回ご紹介するのはこちら。

 

ガガガ文庫より、小林一星著『シュレディンガーの猫探し』です。

 

主人公は探偵嫌いの高校生、守明令和。まるで時代を代表する寵児のような名前ですが、探偵嫌いだという点を除けばいたって普通の男子高校生です。事件の真相なんてわからなくていい、闇に葬っておけばいいと考えるタイプのちょっと痛い子です。

 

そして、彼とともに起こる事件を捻じ曲げ、謎を深め、迷宮入りさせることを生業とするのが謎の女性、焔螺(ほむら)。魔女を自称していて、何か魔女っぽい格好をしている変な人です。

 

この二人がこのお話の主役であり、知恵と魔法を駆使して事件を解決へと導かせないことに注力します。

 

まず最初の事件は、36の密室と消えた手紙野謎。

 

令和の通う学校のロッカーが36、謎の力によって鍵が開かなくなってしまうという謎に直面します。そして更に、そのロッカーに一つに入れられていた手紙も消失してしまっていたのです。

これは不可解なことになった。けれども、令和と焔螺としては別段事件を解決しようなんて気はさらさらなく、とある事情から手紙を見つけなければならなくなったので、それについて調査しようということになりました。

 

なぜそんなことが起きたのか、誰が起こしたか、どんな理由で行われたのか。

 

ハウダニット、フーダニット、ホワイダニット。推理小説の三原則をなぞりつつ、しかし事件を迷宮入りさせようと目論む二人。

 

魔女を自称する女とその助手はあの手この手を使って、証拠を捻じ曲げて推理の道筋を間違った方向に向けようとします。

 

そして、その目論見は見事成功しました。

 

実際にどんな手を使ったのかは本編で。

 

そんなふうにして本物の探偵の調査と推理を妨害していく魔女一行。

 

見事事件を迷宮入りさせることに成功した令和と焔螺は意気揚々と退散します。

 

ここで、みなさんに一つ断っておかなければならないのですが、このお話はミステリーという位置づけではありますが、実は魔導書などが存在するファンタジーな要素もあります。

 

なので完全に現実的な世界観を求めている人にはあまりおすすめできないものです。まあゆるーく、こういうのもあっていいよね、という人には読んでいただきたいと思います。

 

それでは、今回はこのへんで。また次回お会いしましょう。

 

さよなら。


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