こんにちは。さて、今回も1冊読み終えましたのでご紹介させていただきます。
今回ご紹介するのはこちら。
2020年版『このミステリーがすごい』『本格ミステリーベスト10』で2冠を達成。くしくも大賞は逃しましたが、本屋大賞にもノミネートされた屈指の話題作。
相沢紗呼著「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」です。心霊現象を絡めた突飛な謎解きとラストのどんでん返しがすごい作品です。おそらく、読者なら誰もが騙されることでしょう。僕も騙されました笑。
物語のスタートは主人公であり推理作家である香月史郎。彼が大学時代の後輩である倉持結花からとある相談を持ちかけられたところから始まります。
何でも自宅で怪奇現象…泣き女のすすり泣く声が聞こえるとか。しかし、もちろん香月にその「泣き女」をどうこうして欲しいといった相談ではなく、その手の怪奇現象を専門に扱う女性の下へ、一緒に付いて来てほしいといったものでした。
香月は承諾し、結花とともに件の女性の住むマンションへと赴きます。ここで出会うのが「霊媒探偵」城塚翡翠です。息を飲むほどの美人で、儚げな印象の翡翠によって、自宅で起こる様々な怪奇現象を言い当てられたり、第三者出ある香月の職業を言い当ててしまったりといったおよそ凡人では成し得ないようなことを次々に行ってしまうのですから、ふたりとも翡翠の言葉を信じてしまいます。この時点で僕も翡翠にはそんな力があるのだと思っていました。
けれども、一緒に怪奇現象を解決しようとした矢先に、結花の身に不幸なできごとが起こってしまいます。そう、結花が死んでしまったのです。
もちろん、殺人。犯人を捕まえるため、翡翠の霊視と香月の論理的思考を使って、警察に助言を加えます。
そのお陰で犯人は無事に捕らえられ、一件落着。しかしこの時点で、翡翠にはひとつの思惑がありました。その思惑が何かは本編で。
帰国子女で友達も少ない翡翠にとって、結花はまさしく友達になれるかもしれない人物でした。彼女は本当に、結花の死を悼んでいたんだと思います。
そして、ラストまでのたくさんの事件。そこで、翡翠と香月の信頼関係はゆるぎないほどに構築されていきました。関係性も男女のものへと移り変わっていきます。
しかし、それらはすべて…と、ネタバレになってしまいますね。
最強、最驚、そして最叫。すべてが伏線の煽り文句は伊達じゃなかったです。
冒頭でも言いましたがもう一度言います。この作品を読んだ読者はすべからく騙される。僕と同じ男性なら、なおさらだと思います。
ラストのあっと言うような、自分の中に作り上げていた世界観ががらがら、と音を立てて崩れていく、そんな感覚を味わってみたい人は、ぜひ読んでみてください。
それでは、また次回お会いしましょう。