こんにちは。プラスアルファでございます。
みなさんはロボットの〝親友〟がいたとしたら、何をしますか?
悩みを相談する?一緒に遊ぶ?家事や育児を手伝ってもらう?何をするにしても、その親友はあなたの事を一番に考えてくれるでしょう。
今回ご紹介するのは、そんなロボットに関する一冊。
カズオ・イシグロ著『クララとお日さま』です。
他のロボット、通称AFとともにお店のショーウィンドウに陳列されていたクララ。クララはある日、彼女を迎える少女、ジョシーと出会います。ジョシーは一目見てクララを気に入り、購入を決意。その後、ジョシーの家で暮らす事になったクララはそこで、初めてお店の外の世界を目の当たりにします。喧騒に包まれたお店の前とは違い、そこでは風と自然、そして照り続ける太陽の光が彼女を待っていました。
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クララはAFと呼ばれるロボット。作中では何の略だったのかわかりませんでしたが、おそらくはアンドロイド・フレンド(AndroidFriend)の略だったのではないかと僕は思っています。
クララは学習意欲や観察力に秀でたAFであり、どちらかと言えば古い型でしたが、新型とはそれほど優位な差はありませんでした。ジョシーの家に引き取られた後も、クララはジョシーのために、一生懸命にその役割を全うしようとします。
しかし、そこへ試練が舞い込むのです。
もともと体の弱かったジョシーは、ある日突然倒れてしまうのです。ジョシーを回復させるため、クララは彼女の大いなる母である太陽ととある取引をします。
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クララの健気さに、ぐっと胸が詰まる思いでした。アンドロイドなのだから当然だろうと思う人もいるかもしれませんが、クララの中にあるのはアンドロイドとして使命感だけではないように思いました。彼女の中には常にジョシーを大切に思い、そしてジョシーのために全力を注ぐという決意があったのです。
そして、クララとジョシー、二人を取り取り巻く人間関係にも注目です。
ジョシーには仲のいい男の子がいました。リックです。彼はジョシーとある約束を交わしていたようでした。それがどんな約束なのか、ついにわかりませんでしたが、その約束はいつまでも二人のものだったのでしょう。読者にもわからなかった約束。(なんとなく察する事はできるようにはなっています。が、明確には描かれていませんでした)
クララとリックの会話の中には、常にジョシーがいました。他にも、たくさんの人々がクララの前に現れます。
様々な人と出会い、学習を繰り返していくクララ。その中で、彼女自身は太陽に向かって奇跡を願います。
ロボットが奇跡を願う、なんておかしな感じもしますが、それでもクララの優しい言動に、きっと最後は笑顔になれるはずです。
それでは、今回はここまでにしたいと思います。もし、興味が出た、読んでみたいという人がいましたら、下のAmazonリンクから是非購入してみてください。
それではまた、次回お会いしましょう。さよなら。