こんにちはこんばんは。プラスアルファでございます。
今回も一冊読み終えましたのでご紹介させていただきます。今回ご紹介するのはこちら。
恩田陸著【蜜蜂と遠雷】です。第156回直木賞、2017年本屋大賞受賞作。
主人公は風間塵、栄伝亜夜、マサル・カルロスの三人。彼らはそれぞれ、最初は全くの他人として芳ヶ江国際ピアノコンクールに出場します。お互いの顔も何を演奏するのかも知らない状態でコンクールに挑んだ彼らは、それぞれに『天才』の異名を持っています。
あらすじ
芳ヶ江国際ピアノコンクールに出場した風間塵、栄伝亜夜、マサル・カルロスの三人は全く違う演奏スタイルを持っていた。マサルが卓越した技術と独自の解釈でクラシック業界から一目置かれる存在に対して、栄伝亜夜はかつて早熟の天才と謳われ、しかし突然クラシック界から姿を消した20歳の少女。ふたりとは全く対照的で、完全に天才と呼ばれるそれなのが風間塵。彼の紡ぎ出すメロディは自由奔放で野性的。けれど、どこまでいっても美しい調べを持っていた。一次、二次と賛否を読んだ塵の演奏だったが、最終の演奏になるとほとんどの審査員を虜にしてしまう。彼の演奏に触発されるかのように、亜夜とマサルは己の才能を更に大きく開花させていく。
足かけ7年。連載小説だった本作は担当編集者にとっても、そして恩田陸氏にとっても思い入れの強い作品となっているそうです。
文章は全体的にどちらかといえばライトな印象で、読み口自体は軽々としていて読みやすいだろうと思います。コンクールの最中の描写も丁寧で、演奏者、観客、審査員の立場からそれぞれの心理描写が描かれ、全ての立ち位置を知ることができます。そのうえで、一体誰にスポットを当てて読むのか、それが重要になってくるでしょう。
僕は今回、栄伝亜夜に一番注目して読みました。幼少緒の頃にクラシック界を離れ、そして20歳を迎えて再びピアノの前に座る彼女は風間塵により励まされ、また彼によりかつての自分以上の才能と成長を見せます。
最初はコンクールに渋々といった様子で出ていた彼女でしたが(そこが結構ストレスに感じた部分)マサルや塵や他のコンテスタントと接していく中で、徐々に自分の音楽を取り戻していく様は見ていてすごかった。彼女の最期の演奏で、カタルシスを得た人は多いのではないでしょうか。
もし、塵がいなかったら、マサルがいなかったら、コンクールに出場していなかったら。何かひとつでも要素が欠けていたら、彼女の復活はなかったのでしょう。作中で栄伝亜夜の友人の奏も言ってた通り、この三人の天才が集うことは奇跡的なこと。おそらく今後一切ありえないことなのだと僕はもちろん、読んでいる誰もが思ったことと思います。
また、クラシック界は平均年齢が高く、20歳でも少女扱いなんだな…とも思いました。
というわけで、恩田陸著【蜜蜂と遠雷】でした。いかがでしたでしょうか? もし興味を持った、という人がいましたら、ぜひお手に取ってみてください。
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それではまた、次回お会いしましょう。さよなら。
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