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【戦争は女の顔をしていない】男の視点からの戦争。そして女の視点からの戦争。

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著『戦争は女の顔をしていない』

 

概要

これまで、戦争という題材は大抵、男の視点で描かれてきた。どことどこの国が戦い、どんな兵士がいたのか。あらゆる国において、戦争とは男のものだった。けれども、実際に武器を取り、戦場を疾駆していたのは男だけではない。女もまた、当時戦っていた。殺していた。

著者のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチが多くの女性への取材で、戦時における女性たちの奮闘ぶりを克明に描き出す一冊。

 

 

 

本書『戦争は女の顔をしていない』はノーベル文学賞を受賞した作品であり、タイトルや表紙からわかるように戦争を題材として扱っている作品になります。

 

なので、内容はおそらく万人受けするタイプではないでしょう。生々しい戦闘描写やグロテスクな描写という点ではそれほどではないように感じました。けれど、やはり戦時の、それも戦闘に参加していた女性たちの生の声が収録されているだけに、とても心が痛くなるような内容でいた。

 

忠誠心、愛国心、使命感を持って戦争に臨んだ女性。子供や夫など、愛する人を敵に殺された末の復讐心。様々な動機を胸に戦場に飛び込んでいく女性たち。

 

待っていたのは、訓練された男性でも根を上げそうになる血なまぐさい戦いの場。そこで、実際に銃を取り敵を殺していくのに、どれほどの覚悟と決意が必要だったのでしょう。

 

そして当然、ロマンスも生まれていました。けれど、弾丸や砲弾が飛び交う中で、甘い愛がささやかれることはない。

 

例え一時愛が生まれたのだとしても、その後に彼女たちに待ち受けているのは悲しい結末だった。

 

戦後、生きづらさを抱えながら生きてきたことを語るシーンでは、やはりどれほどの功績をあげ、多大な犠牲を払ったとしても意味のないのだなと思えました。そして、彼女たちの戦後の戦いの方にこそ、胸を締め付けられる思いの人が多々いるのでは?と個人的に思いました。

 

なぜ戦争が始まったのか、どうして敵が攻めてくるのか。それらを考え、知る暇はありません。ただただ、目の前の敵を殺害していく、それだけを繰り返していたことに、小さくため息が漏れるようでした。

 

男の視点からの戦争を語る作品は多くなり、そのどれもが存在する意義のあるものです。しかし、こうして女性の観点から戦争を語ることも、また同じくらい意義深いことなのだなと感じます。

 

本書は、多くの戦争を語りつぐ書籍や証言と同様に、長くたくさんの人に読まれるべき作品だと断言できます。

 

それでは、今回はここまでにしたいと思います。もし興味を持っていただけましたら、ぜひお手に取ってみてください。

 

それでは、また次回お会いしましょう。さようなら。


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