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【忘れられた巨人】知らず知らずの内に忘れてしまっている、忘れてはならかなかった思い出たちが蘇る。

カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』

 

あらすじ

辺鄙な村に住む老夫婦のアクセルとベアトリス。ある日、二人は自分の息子が住む村へと向かう決心をする。村人に分かれを告げ、出発すると、途中で立ち寄った村でとある一人の戦士と出会う。彼は鬼に連れ去られた少年を助け出すべく奮起する戦士。しかし、少年を助けられたというのに、村人の様子はどこかおかしく……息子のこと、血を流した歴史のこと、忘れてはならなかった記憶が、どこかにこぼれ落ちている。

 

 

どうして、人は過去を忘れてしまうのでしょうか?それは一説には、自己を防衛するという機能が僕たちの脳にはあるからだといいます。

 

起こった出来事を全て覚えていたら、脳のメモリもパンパンになってしまいますし、何より忘れてしまいたいほど悲しく、苦しいできごとに出会ってしまったとき、忘れられないままだと生命を保つことも難しいからです。

 

この『忘れられた巨人』では、登場人物の半数以上が謎の記憶障害に陥っています。本書はファンタジーに分類されるので、難しい医学の話題は出て来ないのでそのあたりは安心してください。

 

とある理由でたくさんのことを忘却の彼方へと流されてしまう人々。果たしてどんな生活なのでしょうか。

 

悲しかったこと、苦しかったことはもちろん、嬉しかったことや喜ぶべきことも忘れてしまいます。

 

もちろん、それにより何か不都合があるかと言えば、あまりないということでした。自分一人が忘れているのならともかく、自分も周りも、全てが一様に忘れてしまっているのですから不都合が起こるわけもありませんね。

 

そしてこの忘却の中には、かつて大きな戦いがあったことも含まれます。

 

流されたたくさんの血。生まれた数えきれないほどの憎悪。そういったものも、この謎の現象によりすっかり忘れてしまってしました。そのお陰で、平和を保っていたのです。

 

ひるがえって、僕たちはどうでしょうか?忘れていることたくさんある気がします。

 

本書を読んで、そういった記憶を掘り起こして、思い出してみる必要があるのかもしれないな、という風に思いました。

 

さて、いかがでしたでしょうか?それでは、また次回にお会いしましょう。さようなら。


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