トマス・モリス著『爆発する歯、鼻から尿』
概要
医学の歴史の中には、現在の我々の常識ではとても理解し難い事例が数多く存在します。頭蓋骨を口から吐き出し続けた男。自分の子供を両生類にしようとした父親。はりつけにされた状態から生還した男。これらだけではなく、古今東西から医学に纏わる珍事件、怪事件を集めたのが本書である。
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まず最初の断っておかなければならないことは、タイトルからもわかる通り本書は家庭の医学を教えてくれる本ではないということです。
本書は著者が古今東西から集めた医療、医学に関するおかしくて魔訶不思議な病気、事故、ケガ、治療法などが載っています。本書の中に登場する医療は現代人の感覚からすれば、あり得ないようなことが多々あります。
そうした間違った治療のせいで死亡してしまった人も大勢いますので、本書を読んんで不謹慎だと感じる人もいるかと思います。けれど、不謹慎さと面白さと言うのは表裏一体のようなものおだということが本書を通して感じていただけるのではないでしょうか。
さて、ここからは僕が読んでいて、面白かった部分や印象に残った部分、ぞっとした部分などを紹介していきたいと思います。
まず最初に『心臓に巣食う蛇』の話をご紹介したいと思います。
これはとある紳士の心臓に、得体の知れない生物らしきものが発見されたという事例です。
自分の心臓に蛇に似た何かが巣食っていたとしたら…想像しただけでゾッとします。
『外科医がいなければ肉屋を呼べ』
十八世紀当時、医者という職業を生業としていた人間はほいほいおらず、お金がなかったり、ド田舎過ぎて医者が必要になっても到着するまでに時間がかかり過ぎる、なんてことは往々にしてあったようです。
この事例では、出産を迎えた妊婦のところに、医者や産婆ではなく、肉屋が呼ばれたことが紹介されています。
なぜ肉屋だったのか。それは、その出産が通常通り行われていなかったからだというのです。赤ん坊を取り出すのに、お腹を切り開く必要があると判断されたからでした。
そこで呼ばれたのが、肉屋の亭主です。普段から動物の解体などをしているから、こうした仕事はお手の物だろうということですね。
しかし…まあなんといいますか、帝王切開と動物の解体は別物だと思わず叫びたくなってしまう事例です。
『尿道にヤスリ、結石を削る男』
最後は、少々汚い話になりますが、今さらですね。
この話を読んだ際、僕はかなり恐怖を感じました。というのも、インドの医師が尿路結石になり、しかもそれを自分自身の手で治療したとのです。
その方法というのが、泌尿器の先端(つまりち○こ)からヤスリを差し入れ、結石を削っていくというもの。
男性であるなら、これがいかに恐ろしく無謀な行為であるかは想像に難くないでしょう。何せ尿道口から細長い遺物を入れ、しかも結石を削ろうというのですから。
ああ、恐ろしかった…。
というわけで、いかがでしたでしょうか?ここで紹介したもの以外にも面白おかしい話がありますので、万人におすすめできるわけではありませんが、興味のある人は読んでみてください。
それでは、また次回お会いしましょう。さよなら。