こんにちはこんばんは。プラスアルファでございます。
今回も一冊読み終えましたのでご紹介を。
今回ご紹介するのはこちら。
上野遊著『農村ガール』です。
〝―髪型よし!メイクよし!でも通勤経路は田んぼのの脇!?
敏腕キャリアウーマンを目指して一流企業「月見食品」に就職した大神華。念願叶って希望の部署に配属された思いきや、勤務先は秋田の山奥にある営業所だった!
赴任初日に熊に襲われ、指導係のイケメン上司は時代錯誤の頑固者。さらに与えられた仕事は想像もしなかった飛んでもないもので―!?
豊かすぎる大自然の中で生きる意味を見つめ直す、お仕事奮闘物語!〟
というわけで『農村ガール』です。主人公は就職をきっかけに東京から秋田へとやってき
大神華。学生時代は剣道に打ち込み、体力に自信満々の社会人一年目。
彼女は就職当初、都会のオフィスビルが立ち並ぶ中を、かっこよくスーツを着て働くこと
夢見ていました。けれど、ふたを開けてみれば自分は秋田のド田舎で農家の人に肥料を売
ったりする毎日。それだけならまだしも、何と猟銃を携えて害獣駆除まで命じられてしま
います。
望んでいた仕事とは全く違う仕事に、華は内心で不満を覚えながらも、上司の本城猛に嫌味を言われながら、仕事を覚えていく日々。いつかこの熊のような大男を見返してやろうと決意する華ですが、まだまだ新人。失敗もあれば落ち込むことも多々あります。そんな華の様子に、読んでいる僕は段々と物語に引き込まれて行きました。
本書のテーマとして『自然とともに生き、命を頂く』というものがあります。そのため、鹿を殺傷したり、熊を撃ち殺したりするシーンもあるので、ちょっと気持ちが揺れるところがあります。
けれど、その反面農家さんとのふれあいのシーンはかなり良かったです。具体的に言うと、とれたてのトウモロコシを食べるシーンなんかですね。
まだまだ心配の華に感情移入しながら、全然知らなかった猟師や猟銃、山のこと、農家のことを、華と一緒に知っていけるのは本当にいいな、と思いました。
農業といえば鍬や鋤を手に、畑を耕したり泥だらけになりながら仕事をする、というイメージが付いて回りますが、実は農業の現場でも、最新式の機械やドローンなどが活躍しているという描写もありました。
もちろん、あくまで小説なので、これだけで農業や猟師の全てを知ることはできませんし、また専門的な本を読んだとしても、それらの職業のことを知った、とは到底口にはできないでしょう。
あくまでも、本書は農業に興味を持つ、第一歩、ということを忘れてはいけません。
最期に。華が熊を打つシーンがあります。彼女が使えるのは熊を殺傷するライフルではなく、鹿などのもう少し小型の動物を打つための散弾銃です。
しかし、武器が何であれ、読んでいると華が熊を殺すことにためらっているのが、自分のことのように思えてきます。
これからは、お肉などを食べる時に、少しだけ華の気持ち、そして熊のことを思い出すようにしようかな、と思いました。
さて、いかがでしたでしょうか?もし興味を持っていただけたら、ぜひお手に取ってみてください。それではまた、次回お会いしましょう。
さよなら。