こんにちはこんばんは。プラスアルファでございます。
唐突ですが、僕たちの前には巨大な迷路があります。その迷路には怪物がいるかもしれず、深い崖や底なし沼、幽霊や妖怪がいて、行き止まりで引き返さなくてはならないこともあるかもしれません。
しかし、進まなければ一見して安全です。その場にうずくまっていた方が何倍も危険は少ないのです。
けれど、僕たちの食糧は有限です。ずっとその場にうずくまっていれば、食べ物が亡くなってしまうでしょう。
迷路に足を踏み出せば、もしかしたら食べ物があるかもしれない。でも、ないかも知れない。
そんな場合、あなたならどうしますか?一歩を踏み出す?出さない?
と、前置きが長くなってしまいましたが、今回も一冊ご紹介したいと思います。
今回ご紹介するのはこちら。
スペンサー・ジョンソン著『チーズはどこへ消えた?』です。
翻訳者のあとがきまで合わせて総ページ数は94ページ。少ない。
一時間読めて、一生使えるビジネス書として有名な今回の一冊は、その薄さや読みやすさから、世界中の大人から子供まで、多数の愛読者を獲得しています。
登場人物も少なめで、ねずみのスニッフとスカリー、小人のヘムとホ―の二匹と二人です。
二匹と二人は迷路の中を彷徨っていました。ある日、迷路の中でたくさんのチーズを発見します。チーズステーションCと言われるその場所に、四人はしばらくの間住み続けました。
ヘムとホーはチーズステーションCの近くに家まで建てて、生活しています。
けれど、ある時チーズが減っていることにスニッフとスカリーは気が付きました。
ねずみの持つ動物的な直観から、二匹はこのままではいずれチーズステーションCのチーズは底を突きてしまうだろうと思います。
そこで、スニッフとスカリーはチーズステーションCを後にし、新たなチーズステーションを探し求めて迷路の中に飛び出していきました。
一方、ヘムとホーはスニッフとスカリーがいなくなった後でも、チーズステーションCに居続け、そこでチーズを食べながら暮らしています。
その内、二人の目にもチーズが少なくなっていることに気が付きます。さらに、チーズが腐りかけていることにも!
そこで、ヘムとホーは新たなチーズステーションを求めて迷路の旅立つのではなく、なぜ今のような事態に陥ったのかを考えます。
物事には、何か原因があるはず。チーズがなくなりつつある原因は何だろう?
二人は人間らしい知能を駆使してあれこれと考えますが、その間にもチーズはどんどん減っていきます。そしてついに、チーズが底を突いてしまいました。
さて、ここで僕たちはチーズについて少し考えなくてはなりません。
果たして、ここで何度も登場するチーズとは一体何なのか、そしてチーズステーションとは何なのか、です。
このお話では、チーズは僕たちの大切なものだと言われています。仕事、家族、友人、恋人、お金、地位、名声、賞賛…数え上げればきりがありませんが、大切なものは人によってそれぞれ違うので、仕方がないでしょう。
何にしても、チーズは僕たちの大切なものです。しかし、僕たちにとってのチーズとは本当にずっと、僕たちの目の前にあるのでしょうか?
スニッフとスカリーはチーズがなくなりそうだと直感すると、すぐに迷路に旅立ちました。新しいチーズを求めて、です。
しかしヘムとホーはチーズステーションCに残りました。当然、チーズは消費されたり腐ったりして、二人の目の前から消えてなくなります。
そこで、すぐにチーズを探しに出ればよかったのですが、ヘムとホーはそれでもその場にとどまり、なぜチーズが消えてしまったのかを考え続けます。
最終的にホーは迷路に出て、チーズを探し出すのですが、ヘムはチーズステーションCにとどまり続けてしまいます。
少し遅く出発したホーも無事にチーズを見つけることができました。でも、ヘムはどうなったのでしょう…。
僕はこの物語の本当に言いたいこととは、つまるところ変化を恐れるな、ということだと思います。月並みな感想になっていまいますが、やはり答えはいつもシンプルなものです。
変かを恐れるな、と言われても人間には様々なバイアスがあり、変化を恐れる傾向にあります。これは僕たち人類が誕生してから獲得した進化の証なので、どうすることもできません。
しかし現在、僕たちは日々、様々な変化に晒されています。
ガラパゴス携帯なんてものはもはや過去の遺物で、メールや電話は全時代の連絡手段。ネットがあれば世界中と繋がれて老後資金は自分で用意しなくてはならず。
その上、コロナショックで世界中が大混乱。大企業も中小企業も関係なく多くが倒産したり、事業を縮小したりしている中、僕たちのチーズも次の瞬間にはなくなっているかもしれない。
そんな非常に不安定な状態の中に、僕たちはいます。
変化を恐れるな、とは恐怖を忘れろ、と言っているのではありません。むしろ逆です。
真に失うことを恐れるのなら、勇気をもって変化を受け入れ、新しいチーズステーションを探しに行かなくてはいけないのです。
僕も変化をいち早く受け入れ、ヘムではなくスニッフやスカリーのように迷路の中に飛び出していけるくらいの勇気を持ちたいと思います。
最後までありがとうございました。実際に自分で読んでみて、考えてみることを強くおすすめします。
それではまた、次回お会いしましょう。さよなら。